【幹部に聞く】解散の危機から30店舗まで事業を拡大!失敗から学び手に入れた「ファンとの共創」とは?
「コロナの影響でお店は休業。それでも前年比の売上に届く見通しが立っています」。こう語るのはB級グルメ事業本部本部長の黒澤貴行。
B級グルメ事業本部は、2005年に単一商品事業部として一号店目となる「吉祥寺どんぶり」を出店。現在では「スパゲッティーのパンチョ」や「ローストビーフ大野」、「牛かつもと村」などを筆頭に、海外を含め全国に40店舗以上を展開しています。
「驚き」をテーマにした事業推進を強みとし、2019年にはファイブグループ全体売上の約60%を占めるまでに成長してきました。
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順調に成長してきたように見えますが、実は、店舗数が縮小したりファンとの交流が途絶えたりなど、絶体絶命の危機に直面した苦い経験もあります。
今回は、当時の反省を活かし、事業の強みへと変えていった歴史を振り返ります。
存続の危機から生まれた事業テーマ
──まずはB級グルメ事業本部ができた経緯を教えてください。
「未来の社長募集」という企画で、4人の社員が集まったことが始まりでした。
見た目、味、価格、すべてに「驚きのある商品」をつくろうと、2005年に「吉祥寺どんぶり」の1号店をオープンします。
それから2009年までに下北沢、高田馬場、蒲田、経堂、渋谷と次々に出店。ただ当時は、牛丼大手チェーン3社との価格競争の真っ只中。
確かに美味しいものはつくれたのですが、価格に勝るほどのものを提供できず、結果として売上は落ち込み最終的には1店舗にまで縮小。ファンとの交流も途絶え、忘れられない苦い経験となりました。
──事業存続にかかわる危機に直面し、どうされたのでしょう?
事業解散の話もありましたが、社長からもう一度だけチャンスをもらいました。
そこで2009年に誕生したのが『スパゲッティーのパンチョ』です。
メンバーの一人が「俺、美味しいナポリタンをつくれる」と言ったのが始まりで、食べてみたら本当に美味しくて。これは売れると思いましたね。
美味しいナポリタンをお客様に届けることで、現在では失われつつある日本の食文化を、新たに広げる意義も見出せました。
なぜならナポリタンは、戦後の喫茶店や洋食屋では欠かせない人気メニューでしたが、現在では食べられる場所が限られています。これを復活させることに、大きな意味があると思ったんです。
その読みは的中し、『スパゲッティーのパンチョ』は多くのファンに愛され、11年の間に全国で22店舗を構えるまで出店数を増やしています(2020年12月現在)。
私たちは事業存続の危機から復活したことで、何を大切にしながら、どんな価値を提供すれば勝てるのかを学びました。
それが今に続くB級グルメ事業のテーマ、「驚き」に凝縮されています。
このテーマには、「お客様の期待を超え、長く愛される食文化・ファンづくりを大切にしよう」という想いが込められているのです。
失敗を教訓に、事業の多角化・ファンとの交流強化へ
──『スパゲッティーのパンチョ』の成功後、次に取り組んだことは何でしょうか?
私たちは過去に価格競争に敗れた教訓を活かし、リスク分散の目的で、事業の柱を2つ3つと増やしていこうと考えました。
そこで生まれたのが『牛かつ もと村』や『ローストビーフ 大野』です。
和牛を揚げる発想は当時まだ珍しく、海外のお客様からも支持されました。そこからさらにインバウンド向けのニーズに応えようと「ローストビーフ」のブランドも開始。お肉をしっとりとさせる調理法は話題を呼びました。
結果、韓国では『牛かつ もと村』を知らない人はいないほど認知が広がりました。また第三者機関の調べで、インドネシアから観光に来られた方の1/3がご来店されたと聞き、とても嬉しく思っています。
そして忘れてはならないのが、お客様とのつながりです。
商品をつくりっぱなしにし、ファンとの交流が途絶えてしまうことが二度と起きないよう取り組みを変えました。
──実際にどのような施策を打ち出したのでしょうか?
具体的には2つあります。
1つめはブランドごとにファンを集め、お客様の声に耳を傾ける「ファンミーティング」の実施です。スタッフが常にお客様目線で商品やサービスについて考えられるようにする狙いもあります。
2つめは、これまで明確ではなかった採用基準の見直しです。
「長く愛されるファンづくり」をする上で重要な4つのコンピテンシー、つまり成果をあげる人材の行動特性を明文化し、それに沿って採用活動を行っています。
この2点が、継続的なファンとの交流を実現するカギとなっています。
難しい情勢のなかで描く未来図とは
──2020年はコロナの影響で飲食事業は世の中的にも大打撃を受けました。B級グルメ事業本部はどうでしたか?
コロナ禍でほぼすべての店舗が休業に追い込まれました。特にインバウンドに強かったブランドは深刻な問題を抱えることになります。
それでもファンの方に支持され、2020年12月時点で前年比80-90%まで売上も回復してきました。
特に「スパゲッティーのパンチョ」はコロナ禍にあっても、ファンの皆様とフランチャイズオーナー様からラブコールをいただき、福岡と鹿児島へ初の九州出店も果たすことができました(2020年12月時点)。
──2021年以降、今後の展開をどう見据えていますか?
コロナ前までは海外のお客様の来店率が高かったため、今後はより出店地域に根付いたお客様との交流やファンづくりを強化していきたいです。
また、ニッチな分野でのブランド展開を継続し、世界をマーケットに皆さんの日常に「驚き」を提供できる食文化を広めていきたいと考えています。
ありがたいことに、コロナ禍という状況においても海外からのFC契約のオファーは増え続けているため、海外展開や人材交流も想定されるでしょう。
これまでも、現地採用した台湾人スタッフに日本で働いてもらう取り組みがありました。逆に、新卒で入った日本人スタッフが海外の店舗で働く人材交流もあります。
将来の予測がまだまだ難しい状況ですが、世界も視野に「驚き」を通じてファンに長く愛される事業を展開していこうと考えています。
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