「地域で愛される繁盛店」を目指して。F-1ランキング1位独走中の野毛もっくんの成功哲学とは。
2024年1月、ファイブグループ総会にて今年の年間スローガンとして「全店伝説の繁盛店」が発表されました。
各店舗、各店長の自主性とチャレンジを重んじるファイブグループでは、同じブランド内でも店舗によって独自の取り組みがあったり個性があるのが当たり前。
そこで!各事業部長達から「みんなの参考になりそうな取り組みをしている今アツい店舗&店長」の情報をいただき、ノウハウを赤裸々に聞き出してきちゃうこの企画!
連載シリーズ「伝説の繁盛店への道」!
第14回目は「野毛っ子居酒屋 燻し家もっくん」をご紹介!
成果:「満点で当たり前」をつくりあげる
新店として2年目、接客や活気という部分で他の飲食店との差別化ができてファイブの「人で売る勝ち方」を体現できていると思います。
タブレットなどを使うことで接客の部分を削減している飲食店も増えていますが、『野毛もっくん』はお客さんとの距離やウェルカム感にこだわって地域に愛される繁盛店になってきています。
現在F-1は事業部内1位をいただいています。働きがいとチームワークを測るスタッポ、スタッフの育成に向き合うSUP、常連さんをつくり続けられているかを測るまた来たいKPI、飲食店として当たり前の食品衛生、商品の再現性などほぼ全部の項目で毎月満点を取れています。
全部当たり前にやれとは言われることだけど、それらを全力で取り組んでみることで基盤づくりをできた1年でした。
F-1の事業部内1位は野毛もっくんしかない、と思ってますが2位の『渋谷っ子居酒屋 燻し家もっくん』は手強いライバルだと思っています。店長のこっしーもお客さんとの関わり方、お店の雰囲気感を大切にしていて仕事を楽しんでやろうっていう意識がすごい。
渋谷店はカウンターがなくて客数も入れないし回転かけないと売上げないし、という状況なのにしっかりKPI達成してるからとんでもないですよね。でも負けたくない!
決意:社内働きがい調査アンケートで全社ビリの結果…からF-1ランキング1位への道のり
オープンした頃は新人ばかりで社員もほぼいなくて、声出しもオペレーションもままならない時期がありました。僕自身も料理長との兼任店長であわあわしていたので、教育がうまくいかないことも多くてスタッポでは6点台(10点満点、全社平均は8点以上)が出ていたことも。そんな低い数字、想像もしていなかったのでびっくりしましたね。
最初はそんな状況でしたが教育制度を整えつつ、まずは店舗理念の「出会いを大事にし、広げられるお店」をベースに野毛で愛されるお店を目指しました。
僕は入社前、地元では老舗のお店で年配のお客さんに可愛がってもらって人生経験を教えてもらったり、いろんなお店の人に紹介してもらって出会いを広げられた経験があり、今の自分がつくられた大事な体験だと思っています。
なので、次は野毛もっくんがお店の子や地域の人にとって人とつながるツールの1つになっていきたいんですよね。
スタッフにはまず自分が楽しまない限りお客さんを楽しませられないし、人は寄ってこないということを伝えました。極端な話、オペレーションに慣れてなくて料理が遅れたとしても、楽しそうに働くことでお客さんも楽しませるんだよ!ということを徹底しました。
もっくんの誰々って覚えてもらうためにもみんなで近隣のお店に通ったりもしています。今でもほぼ毎日行ってるんですよ!店員さんと仲良くなるともっくんのことが口コミで広がって、お客さんを連れてきてくれることも。そこで100%の営業をすることでお店のファンを増やすことにつながります。
スタッフと休みがかぶったら一緒に飲みに行くことも多いです。色々なお店に連れていって「人と関わるのってこんなに楽しいんだよ」ということを経験させてあげたいと思っています。
料理長としての理念は「夢を与えられる人」です。
自分自身が結構早めに飲食に出会って夢を持って、同級生より先に社会に出る決意もできたので、夢って1つの軸になると思うんです。辛いことも夢のためなら頑張れるし、少しブレた時も軸があるとそこに考えを戻せる。そういう夢があったから成長させてもらったという自覚があります。
だから次はそんな夢を誰かに与えられる人になれたらと思います。
取り組み①:クオリティを引き上げるお店づくり
【働きがい調査:スタッポ】
オープンの頃、スタッポで6点台が出た時は僕自身ただただびっくりしちゃって。思ってもみなかったので素直に全体ミーティングで「何が問題なんだろうね」って正面から話し合いました。そこで出てきた意見や不満に対して、じゃあこういう仕組みどうかなとかグループディスカッションしました。
そうしてお互い何を思っているかや共通のゴールを明確にすることを1年くらい続けたら、大きな問題になる前にみんなが少しずつガス抜きできるようになってきました。その結果、今はほぼ満点に近い点数です。
【SUP(ステップアッププログラム)】
SUPの実施率も100%です。社員4人の面談は僕がやって、アルバイト16人の面談は他の社員に任せています。
SUPに関しては「昔ながらの飲食店みたいに好き嫌いで時給を上げるようなことはせず、頑張ってることは褒めてダメなことはダメって一律に評価するための基準なんだよ。人として成長していくことを目的にしてるよ」と説明しています。みんなそれで納得して取り組んでくれますね。
トレーナーが今6人いるんですが、5人になった時にトレーナーだけのグループLINEをつくって「この子は今このレベルにいて、こういう課題与えてます」というような進捗状況とか悩み相談とかを共有をするようにしました。飲みに誘ったりして「最近どう?」と個別に悩みを吸い上げられるようにも気をつけています。
育成に関してはキッチンとホールで分けて担当制にしています。なるべく男性には男性、女性には女性を担当してもらうようにしてメンタル面でのフォローもしてもらっています。
仕事の中でのトレーニングはSUP項目の言葉を使ってするように伝えています。
これからはトレーナー会も定期的にやりたいですね。今は2ヵ月に1回なので、もっと増やしていきたいです!
【リファラル採用】
今年の1月にアルバイトから社員になったのが2人、今もう1人社員になりたいっていう子がいます。お客さんからのアルバイト採用は1人です。
社員になった子のうちの1人は僕が以前所属していた川崎のとりとんくんから一緒にやってた子で、絶対に社員にはならないって言ってたんですけど(笑) 働いてるうちに徐々にファイブの良さを見出せるようになって将来の夢も描けるようになったんです。
地域のお店の店員さんでもうちの店で働きたいって言ってくれる子はいるんですけど、店と店とのつながりを大事にしたいのでそういう採用はあまりしないようにしています。
【食品衛生と商品再限度】
料理長兼任店長ということで自分が思ったことをストレートにスタッフたちに伝えられるのはいいなと思います。その反面、わりと正直に口に出しちゃう方なので落ち込ませちゃうことも。普通なら店長がやるであろうフォロー役も一人二役でやらないといけないのは少し大変ですね。
料理に関してはやはり人一倍こだわりもあるしダメなものはダメって突き返します。正解のものを作って、両方食べさせて味の違いをわかってもらいたいんです。
それと同時に僕自身、料理長という職位として業態全体のメニュー開発にも関わってるので、このメニューができるまで何十時間、何百時間とかかっていて、料理長たちのいろんな想いがこもっているものを「忙しいから」って理由だけで手を抜かないでほしいと伝えています。
衛生に関しても、お客さんの立場だったらどう思う?と自分事にして考えさせます。飲食人としてこの仕事でお給料をもらってるって意識でいてほしい、というのは徹底しています。
取り組み②:常連になりたい!って思わせるような創意工夫
常連さんを増やすための工夫もしています。
野毛もっくんっぽい取り組みとしては、5回以上お客さんがサービス券付きの前回レシートを持ってきてくれたら天井や柱に貼っていきます。
もう100枚以上貼ってあるので他のお客さんも「何これ」って興味を持ってくれるんです。スタッフも常連さん全員の名前を覚えるし、最後にいつ来てくれたかもわかるからよりつながりが深まりますね。
6月と11月には常連祭をやっています。元々『焼鳥とあて巻き 居酒屋大悟 西国分寺店』の拓馬くん(店長)がやってるのを聞いて取り入れたいなって思ったんです。
うちのイベントのやり方は、深夜営業だけイベント仕様にチケット制の特別営業をする感じです。クイズ大会やったりスタッフが出し物したり、常連さんとより仲良くなって楽しんでもらえるように毎回企画を考えてます。
オープン3ヵ月の常連祭では30人くらいだったんですけど、第2回は50人くらい来てくれて。
今では地域の飲食店の人同士が仲良くなったり、いろんなつながりが増えていっているので店舗理念「出会いを大事にし、広げられるお店」を体現できてると思います!
展望:『野毛もっくん』がみんなの”ホーム”になるように
普段からスタッフたちは本当に僕の声を汲み取ってくれようとして助かっています。
僕、もともと営業中はお客さんに意識を向けたいのでオンジョブで注意をする時、極力短く単語で伝えて、あとでしっかり話すって形だったんですが、最近だとトレーナーたちがその場ですぐオンジョブトレーニングのフォローに入ってくれるんです。注意された子もその方がその場ですぐ納得して実践してくれるようになりました。
お客さんにとってもっくんが帰ってくる場所になるために、スタッフそれぞれが主体的に動いてくれているなーってすごく感じられるんですよね。
自分自身の変化だと、傾聴の大切さに気がつきました。面談とかで話す中で前よりもどこにこの子の本心があるのかなって探りながらしっかり聴けるようになったと思います。
お店の一番の伸びしろはホスピタリティの部分!!お客さんに対してはもちろん、スタッフ同士でのホスピタリティもまだまだできると思うので、その部分にさらに力を入れていきたいです。
スタッフの声
仁田 大志さん(社員)
僕はアルバイトから社員になりました。アルバイトでも自分の成長につながるような責任を持たせてくれてすごく楽しかったので、それがきっかけです。アルバイト時代に頑張ったのは「お客さんの”また来たい”づくり」と深夜帯の盛り上げ役です。「深夜店長」って呼ばれるくらい夜の時間帯は力入れてました。
社員になって1番変わったのは、お店全体のことを考える視点で物事を見られるようになったということです。
SUPが担当制になってから、1人1人のことを深く見られるようになってお店づくりに良い影響を与えてると思います。
野毛もっくんは間違いなく世界で1番面白い居酒屋だから、ぜひ足を運んでほしいです!
ゆうすけさん(アルバイト)
実は最初、もっくんのみんなの元気さについていけなかった部分もあるんですが、厳しく育ててもらえてありがたいです。
まことさんにはいつも「声出して」って言われてて、自分では出してるつもりでいたけど「周りから出してないって思われたら社会でも出してないってことになるから」って言われて、よりいっそう意識して働くようになりました。素直なところは評価してるって言われたのも嬉しかったです。
野毛もっくんはみんな年齢も立場も違うけど距離が近くて、思ったことを伝えられる環境ですね!
これから新任店長になる人へ一言!
見えないゴールはない、ということを伝えたいです。
新店の店長は最初は忙しくて仕方ないし、うまくいかないこともたくさんあるだろうけど、絶対にペースを掴める時がくると思います。でも自分が頑張らない限り最初の大変さがずっと続くだけなので、頑張るところは頑張ってネガティブにならず続ければ、必ずゴールは見えてきます!
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