有留将吾。広告代理店の営業マンだった男の人生は、居酒屋行くなら俺んち来い（以下、いざこい）所沢店に出会ったことで、転機を迎えた。ファイブグループに入社して、10年。現在では、串カツ田中吉祥寺店の店舗責任者を務める彼の、挫折と挑戦の歴史を辿っていこう。

【出会い】「こんな居酒屋ありなの！？」

2008年、その頃の僕は広告代理店の営業マンでした。当時、仲間たちと所沢に集っては、新しいお店ができる度に遊びに行っていましたね。そんなとき、「変なお店ができたから行ってみようぜ」と、誘われて行ったお店が『いざこい所沢店』でした。

実際に行ってみて、「こんな居酒屋ありなの！？」って衝撃を受けたんですよね（笑）。働いている子たちが皆自由で、アルバイトも含め、誰が店長なのかわからないくらい主体的に働いていて、指示を待っているような子は1人もいない。「よくもまあ、ここまで楽しんで働けるなあ」って気に入って、年に100回くらいは通ってました。

店長に聞いてみたら、「何言ってんの？ウチはチェーン店だよ」って。もう、その時の衝撃といったらすごかったですね。「ほんとかよ！」と思って、時間を見つけては他の店舗にも行くようになったんです。

吉祥寺店、大宮店、高田馬場店……どこに行ってもスタッフたちがイキイキと働いていて。その光景に、僕の心は奪われました。ファイブグループについて、坂本憲史社長について調べ始め、そして1つの決断を下しました。

「この人のもとで働きたい！学びたい！」

その好奇心を抑えきれず、広告代理店を退職しました。

当時の店長からは、「ドメちゃんだったら面接しないでも雇うよ」って冗談で言ってもらっていて。前職を辞めた日には電話して、その次の日からお店で働き始めました。それが10年前の話です（笑）

【挫折】悔しさをバネに、再挑戦

当時僕は28歳で入社しました。周りの社員やアルバイトさんも年下がほとんどで。最初は教わる立場でも、社員になると、指示を出さなきゃいけなくなる。そんな中で、店長が新店の手伝いで2ヶ月ほどお店を離れる時期があったんです。その間、「所沢店をよろしく」って言われてたんですが、アルバイトの一人ひとりの意見をちゃんと汲み取らずにシフトを組んだりしてしまっていました…

「お前どういうこと？誰もお前についていってないじゃん」

このままだとお店にも僕にも良くないと判断され、異動が決まりました。それが彼の1度目の挫折でしたね。

このときの悔しさをバネに、多摩センター店では順調に売上を伸ばし、店長代行に昇格しました。『いいチームをつくれた』と自負する一方で、「自分はもういなくても大丈夫かな」と考え、新たな挑戦を決めました。

横浜店への異動は、自ら「やらせてくれ」と頼みました。僕は常に新しいことに挑戦してやりがいを感じていたいタイプなんです。いい条件の場所で働きたいわけじゃなくて、常に学びのある環境で働きたい。それがファイブグループに入った一番の理由でもあったので。

【再挑戦】訪れたリベンジの機会。そして苦難

2015年、私は再び、古巣の所沢店へと戻ることとなりました。それは当時、不振に陥っていた店の再建を託されての出来事でした。それまでの経験を活かし、お店の状態は改善されていきましたね。「やっとリベンジできたかな」と思っていました。

あることがきっかけで、お店が軌道に乗ってきたタイミングにも関わらず、スタッフたちとは90日間バラバラになることを余儀なくされました。

しかし、90日後。予期せぬ嬉しい出来事が僕を待っていたんです。

なんと約8割のアルバイトが戻ってきてくれたんです。しかも、そのうちの何人かは、そのタイミングで「社員になろうと思います」って言ってくれて。他のバイトをしたけど、つまらなかったらしいんです。そして、「社員になる」と腹を決めてくれた。嬉しかったですね。

モチベーションが高いスタッフが何人かいるだけで、お店はどんどん良い方向に向かいます。その後、そのメンバーたちのおかげもあって、お客さんが戻ってくるのに時間は要しましたが、所沢店をスムーズに立て直すことに成功しました。

【苦難】新業態への挑戦と二度の降格

リベンジを果たした僕は、2016年に更なる成長を目指して、それまでのいざくる業態を離れ、ペコリ業態に異動しました。「実はペコリ業態でBDFをできる人を探してるが、やってみないか？」という上司からの提案を喜んで受け入れて、新たなフィールドに飛び込みましたね。でもその結果は、期待と異なるものでした...

1年半ほどBDFとして業務に就いていたのですが、当時関わっていた社員さんたちが辞めていくのを止めることもできませんでした。その人たちのやりがいをつくれなかったんです。業績を上げることはできず、店舗責任者に降格し、いざこい吉祥寺店への配属となりました。

まずは、自分がペコリで扱っているフードやドリンク、サービスのことをもっと知っていなければならなかったですね。BDFとしての仕事ができるできない以前に、業態そのものを詳細まで知ろうとする作業を怠ってしまった。これは僕自身の失敗です。

何度も失敗したり、期待に答えられないこともあり、クビを覚悟したこともありました。それでも、今こうして働けているのは、「ドメちゃん、一緒にもう1回頑張ろうよ」って言ってくれる人がファイブにいたからです。どんな人間にも再挑戦するチャンスを与えてくれる会社だというのは、自分が1番痛感していると思います。

【将来】今度は、自分が後輩たちに手を差し伸べたい

自分が働き続けられているのは、自分のことを見捨てないでくれた仲間のおかげでしかない。改めて、社長はもちろん、何度も救い上げてくれた上司や仲間たちに感謝したいです。

ファイブグループでの出会いや関わりは、自分にとっての財産であり、他の会社では絶対に気付けなかったことに気づかせてくれました。

次は自分自身が、後輩や仲間たちを信じてあげる側に回りたいですね。その結果、いつかは僕の後輩から、ファイブの10年選手が育ったらいい。無事に10年選手を育てあげることができたら、その時に初めて、恩返しできたことになるんじゃないかなと思っています。

有留の新たな挑戦は、まだ始まったばかりだ。

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