【5IVE PEOPLE】大須賀太一/店長兼料理長
メニューの再現性を守り、店舗の衛生管理を行う料理責任者の仕事とは?
- 長いアルバイト期間を経て、社員になった理由は?
出身が愛知県なのでいつかは地元に帰ることになると思っていました。でも28歳で結婚したとき、妻が、このまま東京で仕事をしていたいという願望が強かったので、どうせ長く働くことになるなら、生活を安定させるためにも腰を落ち着けようと、社員になることを決めました。
- 店長であり、料理長でもあるという働き方をしているのは?
最初にアルバイトでお世話になった「下北沢っ子とりとんくん」の先輩が、店長も料理長も両方やっていました。その姿に憧れもあったし、自分もそういう仕事がしたいなと思いました。店舗のマネジメントとして、接客と料理、両方見ているほうが全体を把握しやすくなる。お店をまとめやすいし、自分としてはそれが楽なんですね。わがままなので、やりたいようにやらせてもらっているということもあります(笑)
- 料理長としては、どんな仕事をしているのですか?
日々のグランドメニューの再現性をキープすること、衛生管理者として衛生を現場で徹底すること、また人材の育成をする役割も担っています。うちの店舗は、自分と同様に接客と料理する人を分けていないので、スタッフ全員の動きを把握して、必要なときには指導をするようにしています。ほかには、業態の料理責任者として新メニューの開発も行っています。
- 新メニューの開発はどのような流れで行われるのですか?
自分ひとりで進めるのではなくて、各店舗の料理長が集まって開発を進めていきます。具体的にいうと、通年で展開しているグランドメニューの他に、季節ごとのフェアメニューがあり、年4回新メニューを開発するタイミングがあります。その年のテーマや打ち出したい食材を、最近の食のトレンドなどを見ながら決定して、そのテーマに沿って各自がアイデアを持ち寄ります。
- 実際に選ばれるのは、どういったメニューになるのですか?
季節を感じられるものになっているか、といった観点もありますが、複数の店舗で提供するということを考えたときに、しっかり再現性が保てるか、提供時間はどうなるか、価格帯といったことも考えます。グランドメニューとのバランスも考えつつ、過去に提供していたメニューをブラッシュアップしていくやりかたもあります。
- 店舗で提供されるまでに、どんなプロセスがありますか?
数十の案の中から、このメニューでいこうと決めますが、店舗で提供できるレベルに到達するまでには時間がかかります。事業本部長と社長のOKが出なければメニュー化はできません。いろんな人に食べてもらって意見を聞いて、何回もプレゼンをして、最終的に形になっていく。長いプロセスを経て、その料理への思いやこだわりが生まれてきます。料理のアイデアは誰でも思いつく。でも、そこからどれだけ追求できるか。お客さんの喜びを考えられるか。それは料理が好きじゃないとできない部分だと思います。
- 料理長として、求められるのはどんなことですか?
グランドメニューで提供している料理の価値を理解すること。すべてのメニューにストーリーがあり、お店で提供している理由があります。そこを理解したうえでレシピの再現性を守ること。それが一番大事なところです。調理は作業なので、8割までは完成できる。でも残りの2割に、料理人としての思いや感覚が入ってくる。お客さんに、美味しい!といってもらいたい。その気持ちにこだわって欲しいと思います。メニュー開発に関しては必ずしもできる必要はありません。日々の仕事のなかで自然と芽生えてくるものだと思います。
- 仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか?
人と関わることが好きだし、今は人を育成する立場にいるので、やっぱり人の成長を感じるときにやりがいを感じますね。何かを投げかけてその反応が返ってきたときや、いい方向に変わっていく姿が見えたときには嬉しさを感じま
- 今後、目指しているのはどんなことですか?
事業の成長に貢献していきたい。理想を言うと、エリアマネジャーがいなくても、各店舗がそれぞれ自走してやっていけるような状態をつくりたいですね。店舗の基盤さえしっかりつくってあれば、外から管理されなくても店長が自立してやっていけるように。そんな人の集まりであれば、事業を拡大していくことが自然とできるようになると思っています。だから、人材育成には力を入れていきます。また働きやすい環境づくりも大事にしたい。今までがむしゃらに仕事をしてきましたが、最近ようやく、娘とゆっくり過ごす最高の休日がつくれるようになってきました。家族のためにも、そこはしっかり守っていきたいと思います。